1. 闇にある者

家路を急ぐ。いつも歩く駅からの道だ。
おかしな時間だからだろうか。街灯がところどころ、ついていない。わたしは灯油の少し入った赤いポリタンクを抱えて歩く。道が暗いところに差し掛かったら、少しアスファルトの地面に灯油をこぼして、ライターで火をつけて道を照らす。

道は、公園のようなところから林へと続いている。なぜかわたしの帰るところはその先にある。その公園のようなところは、もうほとんど街灯はなく、かなり暗い。何かわたしの周りにいるのがわかる。つかず離れず、わたしについてきている。何か、触れてはいけない悪しき存在。人のような大きいものが後ろに一人、右手には獣のようなのが一匹。たぶん、火を灯せば彼らは近づいてこないのだ。足元に灯油をこぼす。が、火をつけるまもなく、獣が近づいてきた。襲われる感じはないが、彼らに触れてはいけないのだ。威嚇して追い払う。後ろの存在は近づいてこない。獣も、いったんそばを離れたが、やはりあまりわたしと距離を置かずについてくる。道はもう真っ暗だったが、気にせず進むことにする。

家にたどり着くことなく、目覚めた。