サラリーマンは政治家になろうと思わない

先日、NHKスペシャル国民健康保険の問題について特集していたのを観た。自分も現在国民健康保険加入者であるので、何とはなしに観はじめたのに、唸りながら最後まで観る羽目になってしまった。


多くの自治体の国民健康保険の財政は逼迫していて、余儀なく保険料を値上げせざるを得ないところが多いという。近年、国庫負担分が一方的に減らされたこと、20年前は加入者の大半が農業従事者や自営業者であったのが現在はパートアルバイトや退職者、失業者など低所得層が圧倒的に多くなり収入が減ったことなどが原因だという。そして払えない人が出て(「払わない」クズもいるし)、ますます圧迫が増えるという悪循環。
そして番組内では実際に重い持病を持っているのに保険料を払えず病院にいけない人も取り上げられていた。


日本の健康保険制度は世界的に見ればすごいことで、こんな整備されている国はほとんどないというのを以前どこかで読んだことがある。奇遇にも最近立て続けに、中国と、アメリカで、治療費の払えない患者を路上に遺棄した、という非人道的なニュースを目にした。日本でも似たようなことになったら嫌だと思った。
わたし個人は、努力した人が報われる社会がいいと思っている。もしそういう社会が実現するならそれなりの格差は当然生まれてくるだろうが、アメリカのような生まれながらに歴然とした格差社会は嫌いである。これまで多くみられた悪平等はもはやありえないのかもしれないが、もし日本社会が目指しているのがアメリカのような国ならそれはできる限り阻止したいなぁと思う。


などと柄にもない事をとりとめもなく考えてしまったのだが、こういう社会的なことはサラリーマンの時にはあまり考えなかった。可もなく不可もなくやっていればほぼ一生安泰であるかのような錯覚をしていたと思う。もちろん関心がなかったわけではないが、今から比べると自分のこと自分の所属する社会のこととしては考えたことがなかった。もしサラリーマンが皆わたしと同じだとするなら、社会を改善していこうとかそんなことはなかなか考えないだろうなあ。もっともわたしのように考えるだけではダメなのだが。


最近、こんなふうにちょっとだけ、会社を辞めてよかったと思うときがある。ゆでガエルにはきっとならずに済むような気がする